みなさんこんにちは。
プラスケア代表の西智弘です。なんだかひと昔前のライフハック系のタイトルのようですが、内容はマジメです。
私たちは、3/1からクラウドファンディングに挑戦しているわけなんですけども、
キャンプファイヤー:川崎市で、みんなのつながりをつくる「暮らしの保健室」を開きたい!
このタイトルや内容だけ見ると
「川崎の中でのプロジェクトなんだから、川崎近隣の方だけにしか関係ない話なんじゃない?」
と思われてしまいそうじゃないですか。
私はそう思いますよ。
いや、私も迷ったんですよ。川崎市民による川崎市民のためのプロジェクトなんであれば、別に全国展開のクラウドファンディングサイトなんか利用しなくてもよかったんじゃないかって。
でも、そうじゃないんです。
全国の皆さんに応援してほしい理由があるんです。
これは、マギーズトーキョーのプロジェクトが始まったころ、2015年のブログでも書いたことですが、
かわさきOncology&Palliative Care:あなたにとって「マギーズセンター」とは何ですか?
マギーズトーキョーも、全国から支援しても、結局その恩恵を受けられるのは関東圏の方のみ。でも、マギーズトーキョーのフラッグシップ的な役割や、その取り組みの影響が全国に波及していくという点では、やはり全国的に応援したほうが良いという話でした。
では、この川崎版「暮らしの保健室」を全国的に応援してもらいたい理由とは何か?ということを、これからお話させてください。
①「暮らしの保健室」が経済的に自立できるか?という社会実験
②ナースサポートサービスの広がりは、故郷の両親と自分を救う
③「運営協議会」のシステムで「市民が受けたい医療を自分たちで作る」が可能に?
自立できる仕組みへの挑戦
まず、
①「暮らしの保健室」が経済的に自立できるか?という社会実験
についてです。
暮らしの保健室は、元々、秋山正子さんという看護師が、イギリスのマギーズセンターを模して、新宿に開いた施設です。現在、全国に20か所以上の同様の施設や仕組みがありますが、「こういった仕組みがもっと多く必要」とされています。
ただし、その多くは利用者から料金を徴収していません。よってその運営の多くは「税金(補助金)」「寄付金」「他の収益事業の利益を回す」などといった資金調達を行っています。
しかし、この仕組みを全国に広めていきたい、と考えた時、この運営がどこでも可能かといえば厳しいこともあるでしょう。自治体も多くは財政難の中、こういった仕組みに十分な資金を出し続けられるか、という不安もありますし、寄付文化が乏しく、また個人所得も上がっていかない中で、寄付に頼る運営を、どの地域でもできることにはなりません。「他の事業の利益を回す」という点も、暮らしの保健室自体が利益をほとんど生み出さないままでは、その事業に着手しようという事業者さんもそんなに大勢は出てこないのではないでしょうか。
私たちは、暮らしの保健室(無料部分)を基盤として、「ナースサポートサービス」や「よろず相談サービス」などといった収益部分を組み合わせた、「自立運営できる暮らしの保健室」のシステムを作りたいと考えています。そして、そのプロセスやシステムについては全て公開する予定です。
これはひとつの「社会実験」です。この仕組みが、うまく運用できるようであれば、全国に暮らしの保健室が大きく広がる基盤となり、あなたの町にも暮らしの保健室ができるきかっけとなるかもしれません。また、万が一失敗したとしても「この仕組みではうまくいかなかった」というひとつのモデルになり、次の新しい仕組みを考え出すきっかけとなるでしょう。
これが、私が全国の皆さんに応援をお願いするひとつめの理由です。
ナースが家族のつながりを支える
次に、
②ナースサポートサービスの広がりは、故郷の両親と自分を救う
ですが、この「ナースサポートサービス」を利用する場面というのは、例えば次のようなケースです。
45歳男性。共働きの妻(40)と、10歳の息子と3人暮らし。近隣に住む70歳の実母が最近、がんと診断され、総合病院へ通院している。医師からは「できればご家族ともお話がしたい」と言われているようだが、夫婦ともに中々仕事が休めない。本人に病状について聞いてみるも「先生からは他には何も言われていないし、まあ大丈夫なんじゃない」と言うばかり。しかしある時、急に具合が悪くなり、救急車で病院に運ばれたところ、初めて会った主治医から「余命はもって1か月」と告げられた…。
今は、夫婦共働きという世帯も増えており、親が大きな病気になっても、仕事を休んで付き添いをするということは難しい現状があります。家庭によっては、親の付き添いのために仕事を辞める、といったケースすら出てきています。
しかし、そういったときに、この「ナースサポートサービス」があれば、医療知識をもった看護師が家族の代理として病院へ付き添い、主治医と患者さんとのコミュニケーションをサポートし、その結果を家族にお伝えする、ということができます。結果として、患者さん本人も、そして家族も安心ですし、「次回だけは家族が同席した方がいい」というタイミングを看護師が連絡してくれれば、仕事の休みも取りやすいのではないでしょうか。
しかし、この仕組みが本当に必要なのは、故郷に両親を残し、子供は都会に出て働いている、というケースではないかと考えています。
私自身も北海道に両親がいますが、親が入院して治療を受ける、という事態になった時、病状が全然伝わってこず、とても心配したことを覚えています。そういったときに、医療知識をもった方が身近にいて、サポートをしてくれれば…と思ったものです。
私たちの取り組みが広まっていけば、地方においてもこの「ナースサポートサービス」が使えるようになるかもしれません。
これが、私が全国の皆さんに応援をお願いするふたつめの理由です。
コミュニティスクールの仕組みを医療へ
そして
③「運営協議会」のシステムで「市民が受けたい医療を自分たちで作る」が可能に?
について。
これまで「医療」といえば、基本的には医師や自治体から「提供される」というものでした。一方で、昨今では「自分が受けたい医療を自分で選びたい!」という方も増えています。それでも、「地域にいくつかある医療機関を選ぶ」くらいしか、能動的に医療を選ぶ方法はなかったのではないでしょうか。
このプラスケアでは、会員が「運営協議会」を通じて「地域の医療をどのようにしていきたいか」を考える場を作ります。医療者側が一方的に専門的立場からの意見を押し付けるでもなく、市民側の陳情を聞くのでもなく、医療者と市民が同じテーブルにつき、フラットな関係で、この地域の医療を育てていけるシステムを作りたいと考えています。
教育の分野では「コミュニティスクール」という、学校運営に参加する市民の委員会を組織している学校もあります。その仕組みを医療でも取り入れていこうという試みです。もちろん、コミュニティスクールも一長一短があることは指摘されており、私たちの「運営協議会」も今後試行錯誤が必要となるでしょう。
しかし、この方式が確立されれば、市民が医療に参画するひとつのモデルとして、全国でも利用できる道が開けていく可能性があります。これもひとつの「社会実験」ですが、成功すれば地域医療が大きく変わると考えます。
これが、私が全国の皆さんに応援をお願いする、みっつめの理由です
最後に
私たちの取り組みは、社会に対する大きな挑戦です。
これが成功するか、失敗するかで、これからの地域の医療は大きく変わります。
そのためには、全国の皆様からの研究資金の支援が欠かせないのです。
ぜひ、ご支援のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
キャンプファイヤー:川崎市で、みんなのつながりをつくる「暮らしの保健室」を開きたい!