
2013年から、「病気にならないまち/病気になっても安心して暮らせるまち」をコンセプトに、NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメントのご協力のもと活動してきました+Care Projectですが、このたび事業部門を「一般社団法人プラスケア(仮)」として独立させる方針となりました。
具体的には、2017年春ころを目処に、法人設立を目指していきたいと考えています。
●一般社団法人プラスケアではどんな事業を行っていくの?
これまで行ってきた各種健康啓発イベントなどを今後も行っていく予定ですが、最もメインに据える事業は
「武蔵小杉/中原に『暮らしの保健室』をつくろう!」
です。
暮らしの保健室は、ちょっとした健康や生活での困りごとを相談できる「学校における保健室のような役割をもつ場所」です。秋山正子さんが新宿で開設したものが最初で、いまでは全国に約20か所が開設されています。
また、2016年10月には、この暮らしの保健室のモデルとなった「マギーズセンター」が、日本で初めて豊洲にオープンし、大きな注目を集めています。
秋山正子さんは、この暮らしの保健室やマギーズセンターのコンセプトをもった場所が、全国的にもっと広がっていくべきと語られています。

武蔵小杉で2015年に行われたアンケートでも、「病気になっても安心して暮らせるまちって?」というテーマでの街頭アンケートにて、124名から回答が得られ、その内容をまとめると
「信頼できる医療機関・医師がある」
「住民同士がお互い支えあえる仕組みがある」
「健康問題などに関して気軽に相談できる場所がある」
の3点に集約されました。
私たちは、このアンケートの結果から、武蔵小杉においても暮らしの保健室のような場所を、住民の力を集めて運営し、日頃の困ったことの相談や、そこをハブとして医療機関へつなぐ役割などを果たして行くべきと考えました。
●暮らしの保健室はどうやって運営していくの?
一般社団法人プラスケアは、暮らしの保健室の新しい運営方法を目指しています。
これまで、全国に開設されている暮らしの保健室は、そのほとんどが他の経営母体(訪問看護ステーションなどの医療機関)をもっているか、公的資金、寄付などを中心に運営されています。
しかし、今後の日本では、特に公的資金に頼った運営はいかに公益が大きい事業といえども難しくなってくることが予測されます。かといって、その地域だけの寄付金に頼るのも限度があります。そうなると、既に安定した経営母体をもっている団体以外は、暮らしの保健室を運営することは難しいということになります。その障壁は、全国に暮らしの保健室が増えていくことの妨げとなりうるでしょう。
実際、私たちも大きな資金があるわけではなく、現時点で武蔵小杉に場所を借りて、暮らしの保健室を開設することは困難なのが現状です。
そこで私たちは、暮らしの保健室の機能部分を取り出して、それをアレンジ・事業化することで、「収益を上げられる暮らしの保健室」のモデルが作れないかと考えました。
※12/14追記 :その後、とある団体から申し出があり、2017年6月ころ~、1回/週を目処に場所を貸して頂けるという話が進んでいます。
●どのような収益事業を行っていくの?
具体的に、現時点では以下のような事業を考えています。
・ナースサポートサービス
病院などでの診察や病状説明の場に看護師が付き添い、患者さんや家族の意思決定を支援します。また、診察前後において、精神的なケアや生活面でのサポートを総合的に行います。
・患者付き添いサービス
患者さんがひとりで病院に行くのに不安がある場合、研修を受けた市民(有償ボランティア)が付き添います。親の通院に付き添いたいけど、共働き夫婦などで仕事が休めない、といった方へ最適。独り暮らし世帯などへも。
また、入院中の患者さんに対しても、ご希望があれば家族の代理として身の回りの世話などを行います。
・1day 暮らしの保健室
中原区内を中心に、イベントスペースや店舗の空き時間などを使用して不定期に開催。まち全体が暮らしの保健室、とみなして各地域での相談に乗ります(一部サービスは無料です)。
・健康関連イベントの企画運営
これまで+Care Projectで行ってきたイベントに加え、疾患の予防や健康維持に関連した勉強会などを行っていきます。
・保険販売
今後の経済的不安に対して、必要な方に対しては各種民間保険の案内を行います。
・その他
その他、今後も事業内容は適宜追加していきます。
こういった事業を行い、運営資金を確保する中で、暮らしの保健室の開設を目指していきます。そのため、一般社団法人プラスケアの活動は初期においては「暮らしの保健室開設準備団体」になります。
●行っていくのは収益事業だけ?
上記事業のほとんどは、収益事業といえども非営利となりますが、それとは別に非収益事業も行っていきます。
その一番大きなものは「地域緩和ケアチーム」としての活動です。
一般社団法人プラスケアのコンセプトは「つながり」―枠を超えてゆるくつながるということです。組織にしばられていると、基本的にはその「枠内」に活動が制限されますが、地域緩和ケアチームはその「枠」を超えて、地域のリソースが有機的につながれるように活動します。
「緩和ケア」と聞くと、多くの方は「終末期」をイメージするかもしれませんが、現在の世界の潮流は「早期からの緩和ケア」、つまり病気と診断されたときから、患者さんだけではなく家族も含めて、緩和ケアを受けたほうが良いというのが常識となっています。
また、緩和ケアというのは単に体の痛みをとる、ということではなく、精神的なサポートや生活面での支援など全てが含まれています。
そしてさらに、地域緩和ケアチームの活動により、緩和ケアを意図したリソースが地域に散りばめられることで、患者さんや家族が「自分が緩和ケアを受けている自覚していなくても、知らず知らず緩和ケアが受けられている」という社会に暮らせるようになることを目指しています。
●この活動に協力してくれるナースを募集しています
一般社団法人プラスケアでは、独立にあたり、この活動に協力してくれるナースを募集します。
具体的には、この活動を実際の現場・地域で実行していくリーダーであり、将来的には「暮らしの保健室室長候補」になります。
一般社団法人の立ち上げは、まだ20~30%というところです。来年の春に向けて、準備をしていかなければならないことはたくさんあります。この全てを、現在のメンバーだけで100%整えてから、ナースをお迎えする・・・という形も考えましたが、できれば立ち上げの時点から私たちの仲間として一緒に事業に関わっていただき、この事業をより良いものにしていければと考えています。
事業の内容や研修については、西智弘(腫瘍内科・緩和ケア医)および武見綾子(がん看護専門看護師)が全力で支援します。
また、この活動についてはボランティアではなく、法人設立後は給与もお支払いいたします。
●支援のお願い
一般社団法人プラスケアの活動は、基本的には収益事業をもとにして運営していきたいと考えていますが、もちろん初期資金が潤沢にあるわけではありません。社会的に意義の大きい事業とは自負していますが、多くの方に知っていただくまでに時間もかかるでしょう。
そのため、このサイトをご覧の皆様には、ぜひ、本活動をSNSや口コミなどで広めて頂き、また今後も継続したご支援をお願いいたしたく存じます。
いずれ、ご寄付の御願いもさせて頂くことになるかと思いますし、事業のひとつの要である「有償ボランティア」へのご協力も、お願いしていくことになります。
私は、このような医療者だけではなく、地域に暮らす方々がお互いに支えあって暮らしの安心を守っていく活動が、今後の日本には欠かせないと考えています。しかし、このような民間主導の取り組みは、まだ他の地域ではほとんど例がないことです。しかし、この事業を成功させれば、武蔵小杉発の、大きなインパクトになることは確かです。そのためには、地域の皆様のご支援が何よりも重要と考えております。今後とも、何卒よろしくお願い申し上げます。
腫瘍内科・緩和ケア 医師
+Care Projectマネージャー
西 智弘
